リレー試験:復帰電圧(Must Release Voltage)
概要
復帰電圧(Must Release Voltage)試験は、リレーの接点が動作(吸着)状態から非動作状態に戻る際の最小電圧を確認する試験です。
リレーは、コイル電圧が一定以上で接点を閉じますが、電圧を低下させた際に確実に接点が開放されることが重要です。復帰電圧は、コイル磁力や可動部ばねの性能、経年劣化などの影響を受けるため、リレーの復帰安定性・設計マージンの指標として用いられます。
車載環境では温度変化や長期使用によって復帰電圧が変化する場合があるため、この試験により、接点が確実に開くかどうかを評価し、制御回路設計や部品選定の参考データとして活用されます。
動作電圧(Must Operate Voltage)とセットで評価することで、リレーの動作特性の安定性を包括的に把握できます。
試験の目的
・コイル磁力および復帰ばねの設計余裕の確認
・経時変化・温度影響・汚染などによる動作ばらつきの把握
・復帰不能や遅延動作の検出による信頼性評価
・設計段階における動作・復帰電圧のマージン設定検証

試験方法
1,試験リレーを定格温度下に設置します。
2,コイルに電圧を徐々に昇圧し、接点が吸着した時点の電圧を動作電圧(Must Operate Voltage)として記録します。
3,その後、電圧をゆっくり降下させ、接点が開放される電圧を復帰電圧(Must Release Voltage)として測定します。
4,複数回繰り返し測定し、平均値を求めて特性を評価します。

対応する代表的な規格
規格番号 | 規格名称 |
---|---|
JIS C 5442 | 制御用小形電磁リレーの試験方法 |
IEC 61810 | 電磁式エレメンタリリレー |
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よくある質問(FAQ)
復帰電圧は温度や経年でどのくらい変化しますか?
コイル磁力や復帰ばねの特性、経年劣化、周囲温度の影響により、数%から10%程度変動することがあるといわれます。そのため、評価試験では定格温度や高低温条件下で測定し、設計余裕を確認します。
動作電圧(Must Operate Voltage)との違いは何ですか?
動作電圧は接点が閉じる最小電圧、復帰電圧は接点が開く最大電圧です。
両者をセットで評価することで、リレーの動作範囲や安全マージンを正確に把握できます。
復帰電圧試験は他の信頼性試験と組み合わせ可能ですか?
はい。高低温サイクル試験や振動試験、湿度試験などと組み合わせることで、環境影響下での復帰特性の変化を確認し、実使用条件に近い評価が可能です。
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