車載ECUの信頼性評価 耐油・耐薬品試験の重要性とcomqudaの受託サービス
概要
車載ECU(Electronic Control Unit)は、エンジンルーム、キャビン、
車体下部など、非常に過酷な環境に搭載されています。
その中でも、ガソリンやエンジンオイル、冷却水、さらには洗車やメンテナンスで使用される洗浄剤などの化学物質との接触は避けられません。
本サービスでは、ECUの機能停止や劣化を引き起こすこれらの
化学物質に対し、製品の長期的な信頼性を保証するための
「耐油・耐薬品試験 (Chemical Resistance Test)」を、
ISO 16750などの規格に基づき提供しています。

耐油・耐薬品試験とは?目的とECUへの影響
耐油・耐薬品試験は、車載ECUが自動車のライフサイクル全体で接触する可能性のある各種化学物質への耐久性を評価するために実施されます。
1-1. 試験の目的と重要性
ECUは、そのハウジング、コネクタ、シール材などが化学物質に曝露されると、以下のような深刻な問題を引き起こす可能性があります。
・機能停止・ショート: シール材の膨潤や劣化による防水性・防塵性の喪失。
・構造的損傷: ハウジングや樹脂部品のひび割れ、変色、強度低下。
・安全性への影響: 重大な機能に関わるECUの信頼性が損なわれると、リコールや重大な事故に繋がるリスクがあります。
この試験は、これらのリスクを未然に防ぎ、ECUの品質保証と長期信頼性を確保するために極めて重要です。
1-2. 対象となる主なECU構成部品
化学物質の影響を最も受けやすいのは、以下の部品です。
・ハウジング(筐体): 樹脂や金属の変質、腐食。
・シール材・パッキン: 膨潤、収縮、硬化による密閉性の低下。
・コネクタ・ハーネス: 樹脂部分の劣化、導体の腐食、接触抵抗の増加。
・ラベル・マーキング: 印字の消滅によるトレーサビリティの喪失。
評価対象となる主要な化学物質と規格
2-1. 自動車使用環境下で接触する化学物質
| 分類 | 化学物質 | 曝露形態 |
|---|---|---|
| 燃料系 | ガソリン、軽油、燃料添加剤 | エンジン周辺、燃料タンク周辺 |
| 油脂・流体系 | エンジンオイル、冷却水(クーラント)、 ブレーキフルード、変速機油(ATF/CVTフルード) | エンジンルーム、パワートレイン周辺 |
| その他 | バッテリー液(希硫酸)、尿素水(AdBlue) | バッテリー周辺、排気ガス処理システム周辺 |
2-2. メンテナンス・洗浄時に接触する化学物質
・車体洗浄剤、ワックス
・アルコール類(イソプロピルアルコールなど)
・溶剤(シンナーなど)
2-3. 適用される主な規格
当社の耐油・耐薬品試験は、主要な自動車メーカーの要求仕様、および以下の国際規格に準拠して実施されます。
・ISO 16750-5:2010
(Road vehicles — Environmental conditions and testing for electrical and electronic equipment — Part 5: Chemical loads)
・JASO D 001 (日本自動車技術会規格)
・各自動車メーカー独自の社内規格
comqudaが提供する試験内容と選ばれる理由
3-1. 試験方法(プロファイル)
お客様のECU搭載部位や想定される曝露状況に基づき、最適な試験プロファイルをご提案します。
| 試験方法 | 概要 | 評価対象 |
|---|---|---|
| 浸漬試験 | 試料を特定の化学物質に所定の時間、完全に浸す(常温・高温) | シール材の膨潤、密閉性の変化 |
| 塗布・拭き取り試験 | 薬品を塗布した後、一定時間放置し拭き取る、または擦る動作を加える | ハウジング表面の変質、塗装の剥離 |
| 噴霧・飛沫試験 | 薬品を霧状にして噴霧、または飛沫を滴下する | 実際の走行環境下での液体の付着を模擬 |
噴霧(Spraying)、刷毛塗り(Brushing)、拭く(Wiping)、注ぐ(Pouring)、浸す(Dipping)、浸漬(Immersing)など
3-2. 試験後の評価項目(判定基準)
試験後の評価では、以下の項目を厳格にチェックします。
・外観観察: 変色、ひび割れ、膨潤、溶解、粘着性、印字の消失がないか。
・機能試験: 電気的特性(導通・絶縁抵抗)やシール性が維持されているかを確認。
・質量・寸法変化率の測定: 樹脂やゴム部品の膨潤率・収縮率を測定。
・強度試験: 必要に応じて引張強度、曲げ強度などの機械的強度変化を測定。
comqudaの特徴
・柔軟に受託試験を対応させていただきます。
・試験のみならず試験前後の特性チェック/動作確認含め、受託にて対応させていただきます。
・通電状態での詳細監視(通信、演算、信号応答など)に対応
・他試験(温度サイクル、振動)と複合条件での委託評価も一括対応
よくある質問(FAQ)
どのような化学物質に対応していますか?
自動車の使用環境下で接触する可能性のある、あらゆる化学物質に対応可能です。特にご依頼が多いのは、ガソリン、エンジンオイル、冷却水(LLC)、ブレーキフルード、バッテリー液(希硫酸)です。また、洗車やメンテナンスで使用される各種洗浄剤や溶剤(アルコール類など)にも対応しております。お客様のECU搭載位置や想定されるリスクに基づき、最適な薬品リストをご提案します。
試験はどのような規格に準拠して実施されますか?
主に国際規格であるISO 16750-5 (Chemical loads) および国内のJASO規格に基づき実施します。お客様から特定の自動車メーカーの社内規格や、独自の試験基準をご指定いただくことも可能です。ご要望に合わせて、規格に沿った条件設定や、より過酷な条件でのカスタマイズ試験も柔軟に対応いたします。
耐油・耐薬品試験の試験期間はどれくらいですか?
試験期間は、以下の要因によって大きく異なります。
評価項目: 試験後の電気特性評価、質量・寸法測定、詳細な劣化分析の有無。
試験条件: 高温浸漬、常温塗布など、選択された試験方法。
曝露時間: 規格で規定されている時間(例:数時間~数百時間)。
通常、標準的な浸漬試験の場合、2週間~1ヶ月程度が目安となりますが、詳細な条件をお伺いした上でお見積もりと併せて正確な期間をご提示いたします。
少量(サンプル数個)からの依頼も可能ですか?
はい、可能です。試作品段階での予備評価や、既存品の部分的な材料変更に伴うスポット試験など、お客様の必要なサンプル数と評価範囲に合わせた柔軟なプランで対応いたします。まずは、お気軽にご希望の数量と目的をお知らせください。
耐油・耐薬品試験のご相談・お見積り
車載ECUの信頼性評価でお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせ・ご依頼ください。
経験豊富な技術者がお客様のニーズに合わせた最適なソリューションをご提案いたします。