ヒューズ試験:過渡電流サイクリング(Transient Current Cycling Test)
概要
過渡電流サイクリング試験は、ヒューズに瞬間的な大電流(サージ電流)や繰り返し変動する電流を通電し、ヒューズ素子や端子の耐久性を評価する試験です。
ヒューズは回路保護部品として、突入電流や負荷変動により瞬間的に過大電流が流れる状況にも耐える必要があります。過渡電流が頻繁に繰り返されると、素子の発熱、接触部の摩耗、端子の変形などが生じ、最終的には保護機能低下や導通不良の原因となります。
この試験では、規定の電流波形・周期でサイクリングを行い、ヒューズの性能変化や破損の有無を確認することで、設計マージンや長期信頼性を評価します。車載ヒューズでは、スターターモータ起動やインバータ負荷などの過渡電流に対応できることが重要です。
試験の目的
・瞬間的な過渡電流や繰り返し電流による素子・端子の影響を評価する。
・過渡電流下でのヒューズの導通安定性や破断特性を確認する。
・車載環境における長期信頼性・安全性を担保するためのデータ取得。

試験方法
1,規定波形・電流値を設定し、ヒューズに繰り返し通電を行う。
2,通電中の温度、電圧降下、接触抵抗を測定・記録する。
3,サイクル終了後に、導通不良、破断、溶着などの異常がないか確認する。

対応する代表的な規格
規格番号 | 規格名称 |
---|---|
ISO 8820 | 自動車用電気ヒューズの安全規格 |
JASO D610 | 車載用ヒューズの性能試験 |
試験条件例
・電流波形:矩形波、サージ波、半波整流波など(仕様による)
・サイクル数:規定回数または耐久試験条件に準拠
・測定項目:通電中の温度、接点抵抗、導通状態
・環境条件:常温、または温湿度条件下での評価も可能
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よくある質問(FAQ)
試験中の温度上昇はどのように管理しますか?
サーモグラフィーや熱電対で端子・素子表面の温度を測定します。
発熱が大きい場合は通電条件を調整し、安全かつ再現性のある評価環境を確保します。
短時間で過渡電流の影響を評価する方法はありますか?
サイクル数を増やした加速試験や、過渡電流波形のピークを設計上限値に設定することで短時間で応力を集中させ、劣化挙動を確認できます。
試験で使用する電流波形はどのように選定すべきですか?
実運用環境の過渡電流条件を想定し、矩形波、サージ波、半波整流波などを選定します。
車載ヒューズではスターターモータ起動時やインバータ負荷を再現する波形が有効です。
受託・委託試験サービス
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