プレスフィット端子とは? ~車載コネクタ信頼性試験編~
概要
プレスフィット端子は、はんだを使わずに、基板(PCB)のスルーホールに端子を圧入して接続する方式です。

・圧入時の機械的摩擦で電気接触を確保
・はんだレス構造により、熱による基板ダメージを低減
・自動車分野のコネクタやハーネス、モジュール基板などで広く採用されています
プレスフィット端子における接触力の要素
1. 摩擦力
- 基板スルーホールと端子の圧入部の摩擦により保持
- 圧入時の摩擦力が高いほど抜けにくく、接触抵抗も低く安定
- メッキ状態や異物、穴寸法精度の影響を受けやすい
2. ばね応力(スプリング作用)
- 端子圧入部の形状により、弾性変形で基板に押し付ける力が生じる
- この力が接触安定性を補助し、摩擦不足や温度変化による緩みを補う
- 材料の弾性率や端子厚み・形状が接触圧力に影響
3. 併用効果
- 摩擦力だけで保持するより、摩擦+ばね応力の併用で、抜け力・接触抵抗の安定性が向上
- 振動・衝撃・温度サイクルなど車載環境でも信頼性が高くなる
特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| はんだレス | 高温はんだプロセス不要で、熱応力や環境負荷を低減 |
| 高信頼性 | 金属端子と基板スルーホール間の摩擦により安定接触 |
| 自動組立適性 | 圧入用自動装置と組み合わせ可能で量産性が高い |
| 再作業不可 | 一度圧入すると取り外しは困難 → 設計段階での確認が重要 |
評価・試験項目
| 試験項目 | 目的・確認内容 |
|---|---|
| 挿入/引抜力試験 | 基板への圧入力、抜け力を確認 |
| 振動/衝撃試験 | 車載環境での接触保持確認 |
| 温湿度サイクル試験 | 熱膨張・収縮による緩みや接触不良を確認 |
| 導通・接触抵抗測定 | 圧入後および環境試験後の電気的性能評価 |
| 断面観察 | 圧入部の摩耗や接触状態、端子の変形確認 |
まとめ
プレスフィット端子は、はんだ付けを必要とせずに基板に接続できる便利な電子部品として、多くの電子機器で使用されています。
よくある質問(FAQ)
プレスフィット端子の圧入後に端子を抜きたい場合は可能ですか?
基本的に圧入後の端子は再使用できません。設計段階で端子位置や圧入条件を十分に確認することが重要です。
ばね応力(スプリング作用)はどのように端子安定性に寄与しますか?
端子の弾性変形により基板に押し付ける力が生じ、摩擦だけでは不足する場合でも接触安定性を補助します。
温度変化や振動による緩みを低減する効果があります。
プレスフィット端子の耐久性はどのように評価しますか?
主に以下の試験を通じて評価します:
・断面観察:摩耗や端子変形の確認
・挿入/引抜力試験:圧入力や保持力の確認
・振動/衝撃試験:接触安定性の確認
・温湿度サイクル試験:緩みや接触不良の確認
・導通・接触抵抗測定:電気的性能評価
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