端子接触荷重(接圧)とは? ~車載コネクタの信頼性~
概要
端子接触荷重(Contact Force、接圧・Contact Pressure)とは、
コネクタのオス端子とメス端子が接続する際に発生する押し付け力を指します。
車載コネクタにおいては、この接触力が確実に確保されることで、端子表面に存在する酸化膜や異物を押し破り、安定した金属同士の接触を実現します。結果として、低く安定した接触抵抗を維持し、電力や信号を確実に伝送することが可能になります。
一方で、接触荷重が不足すると接触抵抗が上昇し、発熱や瞬断などの不具合が発生しやすくなります。逆に過大な接触荷重は、組付け時の挿入力増大や端子の摩耗・変形を招き、長期的には弾性疲労による性能低下につながります。
つまり、端子接触荷重は「小さすぎても大きすぎても不具合につながる」ため、適切な範囲を維持することが車載コネクタの信頼性確保に直結する重要な設計・評価パラメータとなります。
役割

・接触抵抗の安定化
接触圧が十分であれば、酸化膜や汚染膜を押し破り、金属同士の実質的な
接触面積が増えるため、接触抵抗が低く安定する。
・振動・衝撃への耐性
車両走行中の振動や衝撃でも端子が離れにくく、瞬断のリスクを低減。
・長期信頼性
熱膨張・経年劣化による弾性力の低下があっても、一定の接触力が
維持されていれば導通が確保される。
測定・評価方法
荷重—変位特性の測定
端子を規定量挿入し、その時に発生する接触力を測定。
信頼性試験との組み合わせ
温度サイクル試験や振動試験と併せて、接触抵抗の変化を測定。
接触荷重が不適切な場合のリスク
・不足している場合
接触抵抗が上昇
振動で瞬断が発生
発熱・樹脂溶融など二次不具合に発展
・過大な場合
挿入力が大きくなり組付け性が悪化
端子やハウジングの摩耗・変形が進行
長期的に弾性疲労による接触力低下
まとめ
端子接触荷重(接圧)は、車載コネクタの導通安定性を支える最重要パラメータの一つです。
適正な接触力を確保することで、振動・温度・経年劣化といった厳しい車載環境でも信頼性を維持することが可能
となります。
よくある質問(FAQ)
接触荷重の変化はどのような要因で起こりますか?
主な要因は経年による弾性力の低下、温度サイクルによる金属疲労、そして振動負荷の繰り返しです。
これらは微小な形状変化を伴うため、単体試験だけでなく耐久評価での併用確認が推奨されます。
端子接触荷重はどの段階で確認するのが適切ですか?
設計初期に解析値や試作評価で確認するのが理想です。量産段階での不具合対策よりも、設計段階で適正値を把握しておくことで、挿入力や導通安定性のバランスを最適化できます。
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【 参考:コネクタ評価サービス
(メインページ) 】
電気的性能試験:抵抗測定、絶縁抵抗、耐電圧測定、リーク電流、瞬断測定、シールド性能
機械的性能試験:外観確認、コネクタ挿入力/離脱力/保持力、端子挿入/保持力、ロック解除力、シール性
耐久試験 :高/低温放置、サーマルショック、耐湿試験、温湿度サイクル、塩水噴霧、腐食サイクル(CCT)
高圧洗浄、振動試験、複合環境試験、ランダム振動試験、カレントサイクル、過電流通電試験
耐候性試験、耐油/耐薬品性試験、熱衝撃試験、衝撃試験 など
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