車載コネクタの不具合原因と対策
概要
車載コネクタは、電力および信号を安定的に伝送するための不可欠な部品であり、自動車の安全性や信頼性に直結します。
一方で、実際の車載環境は温度変化、振動、湿度、塵埃、薬品、さらには機械的ストレスなど、複数の厳しい要因が重畳する過酷な条件下にあります。そのため、不具合が発生するリスクは常に存在します。

こうしたリスクを低減するには、信頼性試験を通じて潜在的な弱点を抽出し、
適切な対策を講じることが不可欠です。
また、市場で不具合が発生した際には、原因調査を行い要因を特定することで、
製品の改良や再発防止につなげることが可能となります。
主な不具合原因と関連試験
不具合原因 | 具体例 | 関連する代表的な試験 |
---|---|---|
接触抵抗の増加 | フレッティングコロージョン 酸化膜形成 接触荷重不足 | 挿抜試験、高温放置 振動・複合環境試験 サーマルショック試験 |
絶縁不良・リーク電流 | 湿気侵入 塵埃堆積 シール劣化 | 耐湿試験、塩水噴霧試験 温湿度サイクル試験 耐水試験、高圧洗浄試験 |
端子・ハウジング破損 | 過大挿入力 こじり 落下・踏みつけ・衝撃 | 挿抜耐久試験 こじり試験、落下試験 ドライブオーバー試験 |
熱劣化・溶損 | 大電流通電による発熱 突入電流 アーク放電 | カレントサイクル パワーサイクル 複合環境試験、温度上昇 |
腐食・化学的劣化 | 塩害 薬品曝露 ガルバニック腐食 | 塩水噴霧試験、塩水凍結 耐薬品性試験 複合腐食試験(CCT) |
要因の特定
接触抵抗の増加が確認された場合、フレッティングコロージョン、酸化皮膜の生成、あるいは接触荷重不足など、
原因の切り分けが重要です。
不具合の状況に応じて、再現試験の実施や市場不具合品の表面・成分分析、X線CTによる内部構造の確認などを行い、要因を特定します。

FTA(故障の木解析)を活用することで、解析を体系的に進めることが可能です。
なお、このプロセスには製品と試験の双方に関する専門知見が不可欠です。
こうした要因分析により、設計改善、材料変更、シール性向上など、
具体的な対策につなげることができます。
対策の方向性
・接触構造の最適化(端子形状・表面処理・適正な接触荷重設計)
・シール性向上(ゴム栓・パッキン材の改良、構造最適化)
・材料選定(耐熱性・耐薬品性・耐摩耗性に優れた樹脂・金属材料の採用)
まとめ
信頼性試験は、単なる合否判定ではなく、不具合のメカニズムを明らかにし、設計や材料選定、量産プロセスにフィードバックするための重要なプロセスです。車載コネクタの長期信頼性を確保するためには、不具合要因を多角的に評価し、適切な対策を講じることが不可欠です。
comqudaの強み
・30年以上の経験に基づく柔軟な試験提案
・他社試験機関のハンドリングも対応し、面倒な作業ごともワンストップでサポート
・不具合解析・コンサルティングも一体で提供可能
・不具合の原因、要因特定についての試験方法なども提案可能
(過去には、「コネクタ接触不良の原因調査・解析手法」というテーマでのウェビナー開催)
よくある質問(FAQ)
不具合が発生した際、まず何を確認すればよいですか?
まずは外観の異常(変形・溶融・腐食・汚染)を確認し、次に電気的導通状態を確認します。
外観に問題が見られない場合でも、抵抗値の変化や接触安定性の乱れが発生しているケースがあります。
初期段階では、外観・通電・抵抗測定を「非破壊で」行うことが推奨されます。
フレッティングコロージョンと酸化皮膜の違いは何ですか?
フレッティングコロージョンは微小な摺動によって金属表面が摩耗し、酸化粉が生成される現象です。
一方、酸化皮膜の生成は主に温度や環境酸素による化学的反応で生じます。
前者は振動環境や低接触荷重条件で発生しやすく、後者は高温放置や大気曝露条件で顕著になります。
コネクタのシール劣化はどのように評価しますか?
シール性は加圧下での漏れ量測定、あるいは塵埃・水分の侵入有無で評価します。
加速試験としては「温湿度サイクル」「耐水・高圧洗浄」「塩水噴霧」などが有効です。
試験後に絶縁抵抗やリーク電流を測定することで、内部への侵入有無を間接的に把握します。
お問い合わせ
comquda(コンクーダ)ではサンプル組立から、耐久性試験や各種評価・測定項目の信頼性試験の
受託評価依頼、試験条件・試験方法のコンサルティングまでご対応可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
【 参考:コネクタ評価サービス
(メインページ) 】
電気的性能試験:抵抗測定、絶縁抵抗、耐電圧測定、リーク電流、瞬断測定、シールド性能
機械的性能試験:外観確認、コネクタ挿入力/離脱力/保持力、端子挿入/保持力、ロック解除力、シール性
耐久試験 :高/低温放置、サーマルショック、耐湿試験、温湿度サイクル、塩水噴霧、腐食サイクル(CCT)
高圧洗浄、振動試験、複合環境試験、ランダム振動試験、カレントサイクル、過電流通電試験
耐候性試験、耐油/耐薬品性試験、熱衝撃試験、衝撃試験 など
信頼性試験・評価のご相談・お見積り
車載コネクタの信頼性評価でお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせ・ご依頼ください。
経験豊富な技術者がお客様のニーズに合わせた最適な受託試験のご提案いたします。