熱起電力とは? ~車載コネクタ信頼性試験における測定~
概要
熱起電力(Thermoelectric Voltage)とは、異なる金属の接点に温度差が生じたときに発生する微小な電圧のことです。いわゆる「ゼーベック効果」によるもので、温度差が数十℃あるだけで数µV~数mVの電圧が発生する場合があります。
車載コネクタ評価では、接触抵抗がmΩオーダーと非常に小さいため、この熱起電力が測定誤差の原因となることがあります。
なぜコネクタ試験で重要か

《 微小抵抗測定への影響 》
4端子法で接触抵抗を測定する際、流す電流が小さいと、発生する
電圧降下(数µV~数十µV)が熱起電力と同等レベルになることがあります。
→ 真の接触抵抗値を正しく評価できない恐れ
《 温度勾配が生じやすい環境 》
通電による発熱、恒温槽での温度サイクル、ハーネスと端子の材質差などにより、
コネクタ内部に温度差が発生しやすい
測定での考慮点
《 電流反転法 》
順方向と逆方向に電流を流し、それぞれの電圧値を平均化することで熱起電力の影響を打ち消す
《 安定温度下での測定 》
温度勾配を避けるため、試験体を恒温化してから測定
《 適切な電流値設定 》
測定電流を大きめに設定し、熱起電力に比べて十分に大きな電圧降下を得る
まとめ
熱起電力は非常に小さな現象ですが、mΩオーダーの接触抵抗測定では無視できない要因です。
車載コネクタの信頼性評価においては、測定方法や環境制御を工夫し、熱起電力の影響を排除することが求められます。
お問い合わせ
comquda(コンクーダ)ではサンプル組立から、耐久性試験や各種評価・測定項目の信頼性試験の
受託評価依頼、試験条件・試験方法のコンサルティングまでご対応可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
【 コネクタ評価サービス
(メインページ) 】
電気的性能試験:抵抗測定、絶縁抵抗、耐電圧測定、リーク電流、瞬断測定、シールド性能
機械的性能試験:外観確認、コネクタ挿入力/離脱力/保持力、端子挿入/保持力、ロック解除力、シール性
耐久試験 :高/低温放置、サーマルショック、耐湿試験、温湿度サイクル、塩水噴霧、腐食サイクル(CCT)
高圧洗浄、振動試験、複合環境試験、ランダム振動試験、カレントサイクル、過電流通電試験
耐候性試験、耐油/耐薬品性試験、熱衝撃試験、衝撃試験 など
信頼性試験・評価のご相談・お見積り
車載コネクタの信頼性評価でお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせ・ご依頼ください。
経験豊富な技術者がお客様のニーズに合わせた最適な受託試験のご提案いたします。